受け継ぐ風景に寄り添う家
お施主様のご厚意により、下記の日程で完成内覧会を行うこととなりました。
「代々受け継がれてきた屋敷構えへの敬意と、現代の暮らしに求められるプライバシーや働き方を両立させた住まい」そんな技拓工房ならではの家づくりを是非ご覧くださいませ。
2026年7月11日(土)~ 7月20日(月・祝)10:00~17:00
見学会会場:埼玉県川越市
(御予約後に詳しい住所等、お知らせいたします)
設計趣旨

クライアントはご夫婦+お子様2人の4人家族です。
ご要望は「広々とした家」「荷物が多いため収納たっぷり」「プライバシーの確保」。
ご夫婦とも在宅ワークも多いため「ワークスペースも充実させたい」というものでした。
今回の敷地は、代々農業をされている広いご実家の敷地の中にあり、元は納屋が建っていた場所でした。
道路境界部分には御影石で造られた立派な門と塀に囲まれているものの、塀の高さが1.4mと低く、歩行者の視線や車のロードノイズは遮れていない状況でした。
【設計のポイント】
現地に立って最初に感じたのは、普段とは異なる「作法(マナー)」が今回の新築計画に必要だということでした。
歴史ある広大な農家の敷地。立派な門をくぐると、真っすぐな宅内通路の両脇に、庭園やご実家、土蔵、納屋などが点在しています。
門をくぐった瞬間からすべてがプライベートではありません。
宅内通路も、この土地を訪れる人々が共有する「迎え」の空間であり、「セミパブリック」な空間として捉えるべきだと考えました。
だからこそ、新しい住まいは自己主張するのではなく、周囲の建物や庭園に静かに寄り添う存在であるべきだと考えました。
敷地の南側は6mの道路に接しており、一見すると南に向かって開きたくなりますが、直線道路ゆえに車のスピードが出やすく、ロードノイズや歩行者の視線が気になります。
そこで今回は、車道側と宅内通路側をL型の平屋で囲い込み、プライベートな中庭を設ける計画としました。
2階建て部分はあえてその奥に配置し、すべての居室が中庭に向かって心地よく開くようにしています。これによりプライバシーを保ちつつ、外観も周囲の環境に馴染む、落ち着いた佇まいとなりました。
収納計画では、あえて大きな納戸を1つ設けるのではなく、使う場所に応じた「適材適所」。「しまう場所」ではなく、「使う場所のそばにあること」を大切にしました。
またワークスペースは何度も打合せを重ね、ご夫婦の手に馴染む道具のように設えた造作家具で空間を整えました。
受け継がれてきた屋敷には、そこに流れてきた時間と、守るべき佇まいがあります。
その歴史に敬意を払いながら、新しい家族の暮らしをどう重ねるか。
私たちが導き出した答えは、外へ開く家ではなく、内へ開く家でした。
道路や宅内通路をやさしく受け止めるL字型の建物配置。
その内側に生まれた中庭は、光も風も取り込みながら、家族だけの時間を静かに包み込みます。
歴史ある景観を壊さず、暮らしはどこまでも自由に。
受け継ぐことと、新しく始めること。
そのどちらも大切にした住まいです。






