「空と間を紡ぐ庭~平屋のいえ」ビデオ映像
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設計趣旨
「その土地を読み、暮らしをつくる」設計士の視点
☆設計にあたってのご要望
- お施主様の祖父が建てた既存住宅を建替えるプロジェクト。
- クライアントからは、「平屋」「元々あった井戸や建物の部材を再利用してほしい」というご要望でした。
☆住空間設計についての課題
以下の3つの課題がありました。
- 面積的にゆとりはあるものの、住宅街の中の敷地でどのように快適性を確保するのか?
- 平屋の課題である2つのポイントをどのように解決するのか?
◇ 平屋の課題①建物中央部分に日差しが入りにくく暗くなりがちなエリアが発生する。
◇ 平屋の課題②空間が平面的に連続するため、プライベート空間の確保が難しくなる。 - 解体することになる既存住宅から、どのようなものをオマージュとして新築住宅に活かすのか?
☆課題の解説と取り組み
当初敷地には2階建てと平屋の2軒の建物が中庭を挟むかたちで建っていました。
おじい様が建てたという2軒の日本家屋はそれぞれ趣のある建物でしたが、中でも着目したのは、中庭の存在でした。
この中庭があることで、住宅街の中でも豊かな居住性を確保できていたからです。
ご要望されていた平屋のデメリットとなる「中央部分の暗さや風通しの悪さ」と、「LDKとプライベートエリアが隣り合ってしまう」という課題を、この中庭を用いて解いていくことができると考えました。
じっくりと環境を観察していると、住宅街の中にも「抜け」があることに気づきます。
その景色の抜けと、中庭、空をうまく暮らしに取り込めるように計画しました。
またオマージュとして新たな住宅に活かす方法論(敬意をもって受け継ぐ)として、井戸は中庭にある位置として再利用。
部材は既存家屋の縁桁や皮付きの桜材を再生利用。さらには、瓦屋根を粉砕し、玄関土間の左官仕上げの材料として使用するなどの新たな試みも取り入れました。