光と樹を抱く、通り庭のある家
お施主様のご厚意により、下記の日程で完成内覧会を行うこととなりました。
土地探しからご一緒させていただN様邸。
外の環境に制約があっても、光や風景を丁寧にすくい取り、家の中に取り込むことで住まいはこんなにも大らかになる…。そんな技拓工房ならではの家づくりを是非ご覧くださいませ。
2025年9月20日(土)~ 9月23日(火・秋分の日)10:00~17:00
見学会会場:埼玉県所沢市
(御予約後に詳しい住所等、お知らせいたします)
設計趣旨

このプロジェクトは、所沢市南西部という限定的なエリアでの土地探しから始まりました。なかなか良い土地に巡り合えず、土地探しが難航しましたが、結果として、お施主様はコスト面と利便性などで今回の敷地を購入することを決断されました。
南北に細長いこの敷地は、土地面積130㎡(40坪弱)、3m幅の旗竿地、東、南、北方向は住宅に囲まれています。西側は現在は使われていない茶畑ですが、いつ住宅になってもおかしくない、という状況でした。
設計する上ではなかなか悩ましい環境でしたが幾度か敷地を訪れているうちに、敷地の南東側に朝日が入ってくる“抜け”が存在していることに気づきました。これを手掛かりに、「何とかプライバシーを保ちつつ、大らかに暮らせる住空間が作れないか」と、模索する日々が始まりました。
【設計のポイント】
このような住宅に囲まれたコンパクトな敷地では、居住性を確保するため2階リビングが必須条件となります(お施主様には土地を購入される前にお伝えしています)。
設計計画では、空まで抜けている敷地の南東側の風景を拠り所にして、この1点にフォーカスすることで大らかに暮らせる住空間が計画できるのではないかと考えました。
- 風景が“抜け”ている敷地南東側にはあえて建物を置かず、小さなお庭を配しました。そこに2階の窓からも眺められるような大きなシンボルツリーを植えることで、この場所の魅力を1階、2階、様々な角度から享受できるような計画としました(建物が建った後では大きな樹木の搬入路が確保できなかったため、建築する前に先行してシンボルツリーを植込みました) 。
- ゾーニングでは、玄関や階段の位置は、必然的に駐車スペースや玄関アプローチのある北東側になり、対してリビングなどの居住空間は、お庭のある敷地の南側に配置されることが予想されました。そうなると1階、2階ともこれらを行き来するための南北の動線が必要となります。そこで、この動線がただの廊下としての役割だけではなく、1階、2階それぞれに魅力的な空間になるようにデザインしました。1階は玄関からお庭まで続く土間空間(通りニワ)を配することで趣のある“抜け”感を演出。2階は吹抜けた廊下の先にあるシンボルツリーの樹幹部が視線を誘い、自然なカタチで吹き抜けのリビングダイニング空間にエントリーできるよう配慮しました。
動線そのものを楽しめる空間とすることで、家全体がゆるやかに広がりを持ち、囲まれた敷地でありながら大らかに暮らせる住まいとなりました。